ビルが丸ごと〝裏DVD店〟(わいせつ電磁的記録記録媒体頒布)

わいせつ物頒布
  • 大阪地方裁判所:第1刑事部2係
  • 罪名:わいせつ電磁的記録記録媒体頒布、わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持

 最近の裏DVD店は、マンションの一室などでひそかに販売しているケースが多いです。ところが今回の事件は、ビルのオーナーが加担して多数の裏DVD店がひしめいていたという、耳を疑うものでした。

違法わいせつDVD店から賃料得た疑い、ビル所有者を逮捕 大阪府警:朝日新聞デジタル
違法なわいせつDVDの販売店と知りながら、大阪市浪速区の雑居ビルの部屋を貸して賃料を受け取っていたとして、大阪府警はビルの実質的オーナーで会社役員、酒井秀次容疑者(54)=同市西区江戸堀1丁目=を、…

(個人的には大阪府警の段ボールが真っ赤な理由を知りたい)

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家宅捜索を受けても営業を続けていた

 2022年9月21日、大阪市浪速区日本橋のテナントビルに入居している裏DVD店にて、従業員の男(45)が客にDVD10枚を2500円で販売した。10月4日の強制捜査で、男はDVD50枚を所持していた容疑で逮捕された。
 このテナントビルは6月にも家宅捜索を受けていて、海賊版DVDや無修正のアダルトDVDが押収されている。

貸し出されていたテナントビル。確かに「ディスクプラザ」状態だった。(撮影=櫛麻有)
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おいしい仕事

 男はある日、西成の居酒屋で飲んでいると、見知らぬ人物から「店で働かないか」と誘われたという。9月から実際に働き始め、日当は1万2000円であった。店の営業時間は昼2時から夜9時まで。8月から、捜査が入った10月までの3ヶ月間で600万円を売り上げていた。従業員の仕事は、客から注文の入ったDVDを棚から集めて渡すというものである。
 黒いTシャツに迷彩柄のズボンといった出で立ちで法廷に現れた男は、「おいしい仕事だと思った」と事件について振り返った。危ない仕事であると告げられてはいたが、年内には摘発されないし、捕まっても罰金で済むと言われて働き始めた。

ビルのすぐ近くにはマンションや小学校がある。

 公判で検察側は、男が接客という大きな役割を担っていたことを非難し、懲役1年6月と罰金50万円を求刑した。
 弁護側は、あくまでも従業員であり、従属的な立場であったとして寛大な処分を求めた。
 判決は、懲役1年6月執行猶予3年罰金50万円であった。

テナントビルの今

 年が明けて23年1月、現場となった日本橋のビルを訪れた。

 なにやら貼り紙がある。書かれている内容はと言うと……

 ちなみに男が話していた居酒屋での話、おそらくウソである。こういった裏稼業は横のつながりが強く、すでにアンダーグラウンドな世界に首を突っ込んでいる者を仕事に誘うことが多い。おいしい仕事に一度手を染めてしまうと、まともな仕事がバカらしくなって足を洗えない。男がまた法廷に戻ってこなければいいのだが。

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