発見された男児専用の〝連れ込み部屋〟(平田秀樹、溝口実)(未成年者誘拐、強制性交等ほか)

誘拐
  • 大阪地方裁判所:第7刑事部合議係
  • 罪名:未成年者誘拐、強制性交等、児童買春・児童ポルノ禁止法違反
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男児を誘拐し続けて10年間

 2020年1月19日、寝屋川市の建設作業員・平田秀樹(41)と大阪市平野区の無職・溝口実(72)は共謀して、大阪市鶴見区のゲームセンターで男児A(11)に「メダル増やせるところ教えてあげる」と声をかけた。19年9月から男児B(12)、男児C(12)も同様の手口で誘拐し、わいせつ目的で借りていた東大阪市のマンションへ連れ去っていた。
 男2人は10年前から誘拐を繰り返していて、マンションの一室に置いた5台のスロットゲーム機などで子供たちを遊ばせていた。部屋には監視カメラが設置されていた。「お気に入りの子の様子を残すため」という。
 溝口はある日、BとCの陰茎を咥え、平田はその様子を動画撮影した。罪状認否にて、平田は大筋を認めたものの、共謀については否定した。溝口が口腔性交に及んだのは自分の故意でないという主張である。一方、溝口は犯行をすべて否認し、弁護人は無罪を主張した。

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平田の主張

 男2人は〝児童愛仲間〟なるつながりだと平田は語った。平田は19年4月23日に罰金刑を受けるなど、同種の前科を3犯重ねている。
 溝口との違いは、未成年者との性行為に興味が無いことらしい。だから溝口にはフェラチオをしてほしくなかったし、児童のペニスを触ったのは深く考えず軽い気持ちでやっただけとのことだ。ところが溝口からの依頼を断り切れず、口腔性交の様子を撮影したという。
 ちなみに、体操服が好きなため、子供に500円を与えて着替えさせていた。

どの罪の共犯か

 検察側は、平田の手淫に続いて溝口がフェラチオをしているため、口腔性交の故意と共謀が認められると指摘し、「性行為に興味が無い」などの弁解に内省がみられないことから、懲役6年を求刑した。
 弁護側は強制わいせつの共同正犯であり、強制性交等罪は成立しないとした。
 判決は、懲役5年(未決勾留日数270日を算入)であった。
 裁判所は、ビデオ内で平田が「気持ちいい? サンタさん(溝口のこと)の口で発射してや」など、フェラチオを止めるどころか煽るような行為をしていることから性交の故意を推認し、前科があることなどを踏まえてこの判決を下した。

シラを切った溝口

 溝口は白く長いヒゲをたくわえていた。子供たちから「サンタさん」と呼ばれていたのも納得だ。
 前科は1犯のみだが、13年から誘拐を繰り返している。被害者は相当数に上るだろう。
 否認していたため、複数の被害児童がビデオリンク方式で別室から証言した。ところが、裁判所や児童のスケジュールの関係で公判が長引き、次回の期日が未定となることもしばしばあった。そのため、判決を聞くことができず悔しい思いをした。

 長年傍聴を続けている方々から、「男の子が被害者の裁判が増えてきた」という声をよく聞く。被害に気づいて申告できる環境が整ってきたと前向きに捉えてよいものか、頭を悩ます。

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