金城ゆり被告についての補足的な記事です(傷害致死)

傷害
  • 大阪地方裁判所:第5刑事部、裁判員裁判
  • 罪名:傷害致死

本人について

 本件についてはマスコミがかなり詳細に報じているため、触れないでおこうと思っていた。ところが、ネット上では「女性割引」「障害者割引」といった聞くに堪えないコメントが飛び交っている。私はどうしても見過ごすことができない。
 裁判は人定質問から始まる。金城ゆり被告(25)は名前を答えることができたものの、本籍地・住居地・職業については戸惑って弁護人に助けを求めた。
「わからない」
 発達の程度が9~10歳なのだ。療育手帳はB1。中程度の障害である。なのに下の兄弟4人の世話を押し付けられ、後で詳述するが、長男の便の始末までやらされていた。

生育環境

 家族は3階建ての一軒家に暮らしていた。散らかりようは相当なもので、脱衣所に関しては床が見えないありさまだった。加えて、ペットを多数飼育しており、各部屋に2つ以上のケージが置かれている。
 母が被告と同じく療育手帳B1、亡くなった雷斗くんは療育手帳Aで最も重い障害をもっていた。
 収入はトラック運転手の父が手取り21万円、児童手当が月55000円、母と被告が障害年金2級で合計約13万円、雷斗くんは障害年金1級で約81000円。これに子の加算が加わる(子を増やして年金の額を積んでいったフシがある)。
 対して支出は、住宅ローン月84000円、車のローン12500円、カードローンが3万円。
 どう考えてもおかしい。大雑把に計算しても35万円以上が手元に残る。弁護側が「父に搾取されていた」と主張するのは至って自然である。

事件の詳細

 子育てを押し付けられた被告(当時23歳)は苛立ちをつのらせ、壁に手をかけて雷斗くん(享年3歳)のへそ付近を踏んだ。体重58kgが雷斗くん(身長93cm、体重14kg)に加わり、血管断裂(下腸間膜動脈裂傷)によって搬送先の病院で死亡が確認された。
 司法解剖の結果、横行結腸間膜裂傷・小腸腸間膜挫滅・右肋間部2ヶ所筋肉内出血が確認され、「作用面が柔軟な鈍体(具体的にはヒトの足)による傷害」であることがわかった。

諸悪の根源である父

 父親は暴力を振るうことが多々あり、長男と被告は一時期施設へ預けられていた。長男には窃盗癖があり、被告の逮捕時、長男は家の一室で監禁状態にあった。これについて両親も逮捕されたが、起訴猶予処分(つまりは不起訴)に終わった。検察側はこういった事例こそ起訴すべきであると思うが……。

その後

 被告には懲役3年執行猶予5年の判決が下った。傷害致死の事案としてはかなりの温情判決である。裁判員裁判はデメリットの声も大きいが、こういった事件に市民感覚が加わる点は評価すべきであろう。
 すでに弁護士が被告の成年後見人となることが決まっていて、子ども全員が施設に入っている。
 雷斗くんのご冥福をお祈りすると同時に、同じ悲劇が繰り返されないよう、行政側の努力を期待したい。

傷害
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法廷扉の小窓より

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