48歳男と18歳少女の恋の結末(監禁致傷)

監禁
  • 大阪地方裁判所:第9刑事部1係
  • 罪名:監禁致傷

事件の概要

 薬局にいた女性(18)を元交際相手であるトラック運転手の男(48)がむりやり自身の車に乗せ、その際に首をつかむなどの暴行を加え(致傷)、車をしばらく走らせた(監禁)。
 女性の110番を受けた警察はGPSで車を停めてある駐車場を突き止め、現行犯逮捕となった。

なぜ車を走らせることが監禁となるか

 多くの人が監禁と聞いて思い浮かぶのは室内などだが、判例ではバイクの荷台に乗車させて1000m疾走する行為も監禁罪としている。(最決昭38.4.18)
 監禁罪は継続して人の行動の自由を不法に拘束することで成立するのだ。
 本件の場合、女性の意志に反して車内に監禁したことになる。

ふたりの馴れ初め

 出会った経緯は語られませんでしたが、女性の母親の同意を経て交際を初めたそうだ。ただし、GPSで常に女性の居場所を確認できることが条件だった。
 2017年より同棲を初めたとのこと(ということは交際を初めたのは女性がまだ高校生のとき?)。
 被告人には離婚歴があり、息子と娘とは週に1度ほど会っていた。このことを被害者は好ましく思っておらず、別れるキッカケとなったという。ケンカの際には被告人からのDVがあったそうだが、被告人はこれを否定している。
 被害者によれば、被告人はキレると人が変わる傾向にあった。

インスタグラムにご用心

 被告人は未練たらたらで、別れた後も被害者の通院先に行って土下座をするほどだった。
 LINEをブロックされ、彼女の居場所もわからない被告人はどうしても話がしたかったようだ。
 ところが、被告人はなぜか被害者のインスタグラムのアカウントを知っていた。ある日、インスタグラムのストーリー(リアルタイムな投稿が多い機能)に被害者が採血の様子を投稿していて、居場所がつかまれた。

犯行の内容

 薬局で被害者を見つけた被告人は無理に連れ出して車に乗せた。その際に被害者は、2週間の加療を要する頚椎捻挫挫傷を負っている。
 助手席に乗せられた被害者はシートベルトもさせてもらえず、ドアも半開きのまま連れ去られた。対向車線に出たり、信号無視をしている様子が複数の防犯カメラによって捉えられている。(甲21~35号証という検察官の発言があったため、15台ほどだろうか)
 被害者は途中、持っていたスマホで110番通報に成功した。ところが、スマホはすぐに取り上げられ、被告人は警察官に「今から家まで送るんで……」などと通話した。
 しかし、通話後には「高速乗って飛ぶからな!」と脅迫している。
 結局、GPSで車の場所をつかんだ警察が現場に臨場し、被告人は現行犯逮捕された。

論告求刑と最終弁論

 被害者の処罰感情は強く、「許すつもりも交際をまた始める気もない。厳罰を求める」とし、検察側は懲役2年の実刑を求めた。
 対して弁護側は、事件当時の被告人は冷静であったとし、連れ去る意志は無かったとして、執行猶予を求めた。
 判決は、懲役2年執行猶予4年となった。
 犯行態様は粗暴であるものの、暴行は相当悪質とはいえず、証人として出廷した息子が監督を約束している点を理由として挙げていた。
 また、説諭として裁判長は「深く反省して今後は(被害者に)接触しないように」と釘を刺した。
 本公判では被害者参加制度を用いて、被害者とその母が参加していた。未練がましい男による犯行は実に多い。

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法廷扉の小窓より

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