大阪ミナミの半グレ集団「アビス」のメンバーらによる凶行(強盗致傷)

強盗
  • 大阪地方裁判所:裁判員裁判
  • 罪名:強盗致傷、犯人隠避教唆、犯人蔵匿教唆
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半グレ集団とはなにか?アビスの実態は?

 暴力団に属さないが、実際は暴力団と変わりなく、非合法なビジネスを行っている組織のことを半グレという。ぼったくりバー、振り込め詐欺、暴行や恐喝、そして強盗など、その手口は様々だ。
 長年グレーな存在だったが、その人員の拡大や犯罪の横行に手を焼いた警察庁は彼らを準暴力団として指定し、大規模な摘発に乗り出した。
 私はNHKの特集で半グレ集団の取材を観たのだが、どうも「俺たちテレビに映ってる!」と思えるような言動で、明らかに暴力団とは異質な存在だなと感じた。ちなみに、このとき取材に応じていた元K-1ファイターの拳月こと相良正幸は、強制性交等と強要の罪で実刑判決を受けた。あまりに公判が長すぎて取材はあきらめた。
 しかし、アビスグループが他の半グレ集団と異なる点は、任侠山口組に上納金を支払っていたことだ。規制の著しい暴力団が半グレを利用してシノギとしていた。構成員が若いことを除いては、ピラミッド型の組織構成を取るなど、アビスはほぼ暴力団に近い存在として大阪ミナミに君臨していた。

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悪質な犯行の内容

 アビスは頂上作戦により壊滅したといわれているが、残党は再集結しているようだ。被告人たちはいずれもアビスのメンバーである。
 強盗を提案した男Aは、2019年9月2日の夜、他の男2人を引き連れ、帰宅途中であった女性(26)に狙いを定めた。
 Aが背後から被害女性の首を締めて失神させ、他の男は腹部を殴るなどの暴行を加え、女性から現金5000円入りのバッグ(時価総額5万円)を奪った。

Aの過去、そして逃走

 Aは少年の時から万引きや建造物侵入などを犯し、ついには詐欺の受け子を行うようになり少年院送致となった。少年院を出た彼はアビスのメンバーとなる。
 介護士である交際相手の女と同居していて、結婚を視野に入れていた。しかし事件を境に2人の運命は狂いだす。事件後、Aは女に逃走を手助けするよう頼んだ。(犯人隠避教唆)
 受け入れた女は、実家のある神奈川県へ一緒に向かい、彼を匿った。(犯人蔵匿教唆、そして女は犯人蔵匿の容疑で逮捕されている)

被害女性のその後

 彼女は受けた暴行のために全治5日のケガを負い、やむなく住んでいたマンションから引っ越しをした。現在も日常生活ができない状態にあるという。

判決

 上記のように犯行態様が極めて悪質である上に、3人はマスクをつけて現場付近を一時間近くうろつくなど、一定の計画性があった。また、被害女性は示談に応じず、処罰感情は非常に強い。
 一方で、3人は被害総額と引越し費用の弁償として合わせて40万円を支払っており、3人の雇用主(おそらくアビスの関係者と思われる)は今後の雇用を保証している上、被告人らの親、そして交際相手の女が情状証人として出廷し、今後の監督を約束した。

 判決は、Aに対して懲役3年8ヶ月(未決勾留日数140日算入)、他の男2名は懲役3年6ヶ月となった。
 Aは保釈されていたが、再び拘束を受けていた。

背筋の凍ったその後

 閉廷後、私はエレベーターで若い男2人と居合わせた。ひとりはスマホで誰かと連絡をとっていた。「○○(下の名前)が3年8ヶ月で○○と○○は3年6ヶ月……」
 そう、傍聴席にはアビスのメンバーがいたのだ。
 エレベーターの扉が開くまで冷や汗が止まらなかった。

強盗
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法廷扉の小窓より

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