一般道を120km/hで暴走し、ひき逃げしたシャブ中(古賀義章)(危険運転致死、覚醒剤取締法違反)

危険運転致死傷
  • 大阪地方裁判所:第13刑事部合議係、裁判員裁判
  • 罪名:自動車運転処罰法(2条 危険運転致死傷罪)、道路交通法(72条 救護義務)違反、覚醒剤取締法違反

事件の概要

 住所不定、塗装工の古賀義章被告(48)の運転する黒色のプリウスが2020年2月17日午後10時56分ごろ、東住吉区の交差点(上記ストリートビューが現場。長居公園の東側、森本病院の正面にある片側2車線の直線道路で、制限速度は60km/h)に赤信号を無視して進入。自転車横断帯を自転車に乗って渡っていた音楽教室経営の黒木康宏さん(36=当時)を跳ねた上、そのまま逃走した。古賀被告は120km/hもの速度を出しており、黒木さんは大動脈裂傷によって亡くなった。ご遺体の凄惨さは想像に難くない。
 また、同年3月22日、生野区の住宅内で加熱して気化させた覚醒剤を吸入して使用した罪にも問われた。
 両件ともに犯行を認めている。

目撃者の証言

「左側車線を走っているとものすごい勢いで(自車を)追い抜いていった」という目撃者がおり、ブレーキランプをチカチカと光らせながら蛇行運転していた様子を供述している。
 また、被告人の車では同乗者が寝ていたのだが、事故の衝撃で目を覚ますと、フロントガラスが割れていたという。ただ、人を轢いたことはわからなかったといい、後述する隠蔽工作にもわけがわからないまま立ち会った。急加速、急制動、急ハンドルについては目撃者と意見を同じくしている。

隠蔽工作

「自分の身勝手な考えで人の命を奪ってしまった」と法廷で反省の弁を述べた被告人だが、その犯行はかなり悪質だった。
 道が空いていたからと120km/hも出した被告人は事故直前にも赤信号無視を繰り返し、横断する自転車には3~5m手前の地点で気づいた。 急ブレーキと急ハンドルをしたが当然間に合わず、事故後、一旦止まってバックしたが怖くなってその場を去った。
 その上、自車のナンバープレートを外して、阿倍野署に「路上駐車していた車が盗まれた」と嘘の通報。車内には消火器をぶちまけた。(証拠隠滅のために車内へ消火器をかける手口は反社会的勢力に共通する。残念ながら古賀の素性までは取材できなかった)
 古賀は公務執行妨害と覚醒剤で2019年10月に出所したばかりで、「事故のことで不安定になり覚醒剤を使用した」と述べたが、暴走の態様からして、事故時にも薬物の影響があったのではないかと思う。

判決

 古賀被告は懲役15年(未決勾留日数170日を算入)に処せられた。
 判決では、走行態様が極めて危険であり、重大な危険を及ぼす速度であったと指摘し、必要な救護措置を取らず警察へも伝えなかったことを非難した。同種事案の中でもここまでの速度超過はわずかで、「急いでいた」という動機に酌むべき点はない。理不尽に命を奪われた被害者の無念はいかばかりかと察せられ、加えて保険に加入しておらず、5万円の賠償をして罪を認めて反省しているが、 危険運転だけでも10年のところを今回の判決に至った、と理由が述べられた。
 5万円。なけなしの金だろうが、遺族は果たしてどのような顔をしたのだろう。

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