9人もの刑務官が登場し、騒然となった大法廷(樋田淳也)(加重逃走、強盗致傷、強制性交等、他計20件)

強制わいせつ
  • 大阪高等裁判所:第2刑事部
  • 罪名:加重逃走、強盗致傷、強制性交等、強制わいせつ、住居侵入、窃盗(第一審の認定した事実は計20件)

世間を賑わせた逃走男の正体

 樋田淳也には前科があり、2018年4月28日に出所した。ところがすぐに上記の犯行を続けざまに起こし、果てには同年8月、留置されていた富田林警察署から逃走して山口県周南市で御用となった。
 当時は逃走自体についてばかり報道がなされていたが、逮捕容疑をあまり強調すると社会的不安をいたずらに煽ってしまうとの配慮だと思う。

18の瞳

 控訴審が開かれた201号法廷は、大阪地裁・高裁が共用している一番大きな法廷である。附属池田小事件の宅間守など、数々の死刑判決がここで下された。
 古い法廷であるため、傍聴席の椅子がギイギイ鳴るし座り心地がよくない。1日中審理があった日の翌日は腰痛に苦しむ羽目になる。
 そんな歴史のある法廷であるが、初めてだろう、刑務官が9人も入ったのは。どんな凶悪犯でもせいぜい4人である。
 樋田を連れた刑務官は4人が彼の周りを固め、3人が傍聴席への出入り口のドア2つとその間に。他は傍聴席の中心付近などに陣取った。

凶悪犯の浅知恵

 判決の宣告前、樋田はおもむろに手を挙げた。被告人は発言できないため弁護士が代弁したのだが、内容としては憲法違反の主張や裁判の進行についての意見書を数通、裁判所へ送っているが、それを踏まえた判決なのか、という趣旨である。
 悪いやつほど憲法や刑事訴訟法などを拘置所や刑務所で学びたがる傾向にあると思う。それがきっかけとなって大阪地方検察庁が放火されかけた事件も以前記事にした。

京アニ事件について「先にやられた」大阪地検庁舎内放火殺人未遂(生駒勝弘)(殺人未遂、建造物侵入、威力業務妨害)

 そのまま判決は読み上げられ、控訴棄却(懲役17年・未決勾留日数300日を原判決に算入) と大方の予想通りであった。逃走と、その途上の窃盗7件で刑期が2年も延びてしまっている。

樋田の荒唐無稽な主張

 樋田は「ヨダソウマ」という人物に罪をなすりつけられた、とか、富田林署の面会室のアクリル板を割ったのは見知らぬ誰か、など稚拙な言い訳をしていたのだが、もちろんすべて認められなかった。
 一方、警察の捜査方法に多少強引なところがあったことは認めたものの、違法収集証拠とまでは言えないとした。(違法収集証拠は採用できない)

見送り

 1時間ほどで判決文の読み上げが終わった。「閉廷します」と裁判長が立ち上がり、法廷の全員が起立して礼をしたのだが、その後の展開がこれまた初体験であった。
 全員がかたずをのんで拘束される樋田を見守っていたのである。彼はスーツの上に専用のベストを着せられ、腰縄の結び方も通常と異なり、編み込みが15~20cmに及んでいた。当然時間がかかるのだが、裁判長は傍聴人に退廷を促すことはしなかった。ここは裁判長の裁量なので、人によって異なる。
 意外とこの判決は反響が大きく、あわてて記事にしてみた。といっても第一審から追えていないので単なる感想であることをご留意願いたい。

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