自称〝アイドルプロデューサー〟明石崇広は女性をモノとしか見ていなかった(準強制性交等、わいせつ略取)

略取
  • 大阪地方裁判所:第15刑事部合議係
  • 罪名:準強制性交等、わいせつ略取

 前科についてはこちら。

www.tokyo-sports.co.jp

 判決の報道は以下の通り

www.tokyo-sports.co.jp

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明石の別名義のTwitterより

この事件に関する報道の経緯

 大阪では芸能ネタが少ないのだが、明石崇広の前科を知った私は、第一回公判の当日にあわてて古巣である東スポの記者に連絡を取った。
 報道の通り、もともと実業家であった明石であるが、14歳の少女を誘拐したとして東京地裁立川支部にて懲役2年執行猶予4年の判決を受け、本件はこの執行猶予中の犯行であった。前科は未成年者誘拐を含めてなんと5犯にのぼる。
 黒豹提督などの名前で活動し、アイドル界隈では有名な存在であったらしい。私が秋葉原のコンセプトカフェで取材したところ、アイドルの最上もがに手を出そうとしていたという噂もあったそうだ。他の情報は東スポの記事に詳しい。
 本件で拘留中であった明石はコンバースの灰色スウェットといった出で立ちで、なぜか傍聴席をチラチラ見ていた。残念ながらメディアは私(?)と、仲の良い大スポの記者だけであったが。

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大阪でもアイドルプロデュースを画策しながら、犯行の芽が出ていた。

大阪での凶行の概要

 明石崇広(42)は2020年1月30日から翌31日の間、自身が経営にも携わっている東心斎橋のコンセプトカフェ(現在閉店)にて、従業員であるA(16=当時)に酒を飲ませた上、「飲んだら楽しくなる」としてゾルピデム(商品名:マイスリー)を服用させた。その上、砕いたゾルピデムを2回に渡って鼻から吸引させ、31日午前5時ごろ、Aさんを近くのラブホテルに連れ去った(わいせつ略取)。ホテル内では酩酊状態のAさんに対し、5~6時間にも及ぶ性交、口腔性交を行った(準強制性交等)。二人の姿が消えたことを不審に思った男性従業員(公式ではないが便宜上、Bとする)が警察に通報し、同日午後3時半にAさんはホテル内にて保護された。
 警察の臨場時にAさんはベッド横でしゃがみこんでおり、ベッドには電動マッサージ器が。ゴミ箱にはティッシュのかたまりが2つと「絶倫マカ液」なる空きビン。浴槽には湯が張られていた。
 Aさんの尿からはゾルピデムが、ティッシュのかたまりからは精液がそれぞれ検出され、精液は被告人のDNAと一致。膣内からも同じ精液が検出された。
 明石は罪状認否にて「すべて同意のもと」として起訴内容を否認。弁護側は抗拒不能でなかったとして、「マイスリーと酒を飲ませたことに争いはないが、自らの意思でホテルに行った」と主張した。
 よって、争点はAさんが自らの意思でホテルに同行したか否か、性交に同意していたかの2点となる。

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成人男性がゆっくり歩いてもホテルは2分ほど。実際には倍以上の時間がかかっている。

Aさんが体験したこと

 Aさんは2020年1月19日に別の店舗で面接を受けたのだが、実際には通勤しやすい東心斎橋の店で同年1月25日より働き始めることになる。ここで出会ったのが明石被告人で、「16歳だけどお客さんが飲んでほしそうだったら飲んでいい」と言われた。(業態としては、カウンター越しに酒などを提供することからガールズバーに近い)
「彼氏いるの?」との問いには「います」と答えている。
 この日、18歳未満は当然夜10時を越えての勤務は禁じられているが、酒で酔いつぶれていたのと、明石の「いけるよね?」という言葉に従って深夜も店に留まり続けていた。 断れない性格だというAさんは、固定給と歩合給の選択で、結果的には安くなる歩合給を明石から押し付けられてもいる。
 カラオケの得点や黒ひげ危機一髪などの罰ゲームのたびに、ウイスキーやシャンパン、コカボン(コカレロをエナジードリンクで割ったものらしい。コカレロは飲みやすいが度数が高く、過去にも有名人が犯罪に使ったりしている)を飲ませられ、Aさんは酔いつぶれて床で寝てしまった。
 目が覚めるとソファーの上に仰向けで寝かされていたAさんの上に、明石がまたがっていた。タイツを脱がされる感覚があり、膣内性交をされた気がしたと語った。酔っていたため、記憶を写真のように場面ごとに覚えているため定かではないという。しかし、「いま生理中なので」と言った記憶はあった。
 上記は明らかに犯罪なのだが、未成年である自分が酒を飲んでしまったことと、行為の確信が持てなかったために通報はしなかった。
 当然明石のことを不審に思った彼女はTwitterで、明石が送検されている報道写真を目の当たりにする。また、「この人は危険です」と告発しているTwitterのアカウントを見つけ、来月の半ばで辞めようと思っていた。早期に辞めなかったのは、男性従業員のBと相談し、リベンジポルノを警戒して穏便に済まそうとしたためという。
 そして犯行前夜となる同月30日、Aさんは明石に宣材写真を撮ってもらうため夜10時以降も店に残っていた。途中、明石は「赤ちゃんの面倒見に行く」と言い残して店をあとにする。明石は既婚者なのだ。
 戻ってきた明石は「持ってきたで~」とマイスリーを取り出し、「パキる?」とAさんに聞いた。酒と薬で”飛ぶ”ことを指すらしい。また、Aさんのリストカットの跡を見て「クスリやったことある人?」とも尋ねた。Aさんは「大丈夫なんですか」と不安になったが、Bさんが同席していたため大丈夫と思い、断りきれずにマイスリーを1錠飲んだ(何mgかは不明)。「Bがいるから……」というのは当然、明石にまた乱暴されのではないかという不安である。
 その後、先述のコカボンを1杯とストロング系酎ハイを1本飲み、Bさんもパキった。明石は「鼻から吸ったほうが効く」と、砕いたマイスリーをストローを用いて2~3回吸引させ、その上もう1錠マイスリーを飲ませた。
 意識を失ったAさんはソファーで起こされ、明石から口うつしで2~3回酒を飲まされ、その中には錠剤も入っていた。
 ここからはまた記憶が飛び飛びになるが、靴を履かされそうになったこと、エレベーターを出たあと頭が痛く歩けないためおんぶを頼んだこと、ラブホテルのフロントのパネルと受付の女性を見たこと、ベッドを見てやっと寝られると思ったこと、などを証言した。
 が、ベッドに横になったAさんは服をまくりあげられ、明石が膝立ちで股の間に割り入ってきた。酩酊状態で抵抗できないAさんは「ゴムつけて」と懇願するも「中でいかないから大丈夫」と言うやいなや、挿れられる感覚がした。また、顔の上にまたがってきてフェラチオもされた。口の中に射精されたため、ティッシュに吐き出した記憶がAさんには残っている。
 検察官から処罰感情を聞かれたAさんは、「法律に基づいて裁いていただけたら」「もう関わらずに生きていきたい」と述べた。

男性従業員Bさんの奔走

 Bさんはもともと、Aさんのキャッチに乗って店を訪れ、その翌日から同店で働くこととなった。(この経緯については明石証言が詳しい)
 Aさんは酒に強くなかったと語ったBさんは、ある日、Aさんに「(セックスを)されたかもしれない」と濁した口調で相談された。そこで、辞める2月半ばまで同じ出勤日にして見守ることとした。告発Twitterからのフォローも受け、暴力団とのつながりもなんとなく察したという。
 30日深夜はBさんの記憶も途切れているが、ソファーにぐったりしていたAさんがかろうじてスマホを持てるレベルであったことは最後に覚えている。
 Bさんは翌31日朝8時に店で目覚めた。ソファーにはAさんの靴だけが残され、彼女の荷物もそのままであった。明石の妻から「(夫が)帰ってこない」と電話があり、その後、明石が借りていたBさんの上着を返しに来た。その際、「Aは他の場所で寝ている」と告げて帰ったのだが、返された上着のポケットには、黄緑色の棒状のものに部屋番号が書かれた鍵が入っていた。
 Bさんは近隣のラブホテルを探し回り、ホテルを特定できたため、巡回中のパトカーを呼び止めた。
 明石には「自分でスカウトした女の子以外はプライベートで会うな」とLINEされたり、あるキャストと付き合うのをすすめられ、意味がわからないことが多かったという。
 いずれにせよ、Bさんがいなければ被害は広がっていたであろう。

明石のあきれた主張(弁護側からの質問)

 明石本人はコンセプトカフェ3店舗のコンサルタントをしており、代表取締役は母であるという。セックスフレンドがいたことがあり、その中には初対面を相手にしたこともあった。
 Bさんについては店がプレオープン期間で、人手がほしかったために採用した。
 30日夜に一旦帰宅したのは赤ちゃんを入浴させるためで、その後、宣材写真を撮るために10時に店へ戻った。予約客が来ないとわかったのが31日0時で、それからパキったのだという。Aさんはためらわずに500mL缶チューハイ1本とマイスリー1錠を飲み、しばらく経っても、ラムやウォッカをショットで5~6杯飲んでいたと主張。Aさんが明石の腕を噛んだりしてじゃれ合い、Bさんが寝たあとにキスをしたり酒を口うつししたりしてイチャイチャし、「ホテルに行こう」と言うと「おんぶして連れてって」と頼まれたため、おんぶして外に出たが、途中でずり落ちてAさんは横断歩道に横になってゲラゲラ笑っていたらしい。
 性交は5~6時間も続け、様々に体位を変えながら、「一日最高何回イったことある?」と問いかけたり、Aさんが「最近彼氏としてないからこんなにするのはひさしぶり」「今度現役のときの制服持ってくるよ」と発言したりしたと述べている。
 上着を返してきた後、Aさんがタイツを履いていたため、電動マッサージ器を使用。そしてまた性交を警察が来るまで続けていた。インターホンが連続して鳴ったが出ないでいると、Aさんは「延長料金じゃない?」と言い、警察が入るとAさんは隠れるようにベッド脇にしゃがみこんだのだと語った。
 25日は翌26日夜中の1時に確かに性交をした。しかし、明石からキスをしてもいやがるそぶりがなかったため、前向きだと思ったという。口の中に射精したのだが、Aさんはこれを「おいしい」といい、翌日、Aさんは「お酒って怖いですね」と言うと「色恋ではないから」と答えた。
 主尋問の最後に、「取った行動については反省しているし申し訳ない気持ちです」と口にした。

動揺する明石(検察側からの質問)

 マイスリーは処方されているものであり、5mg×2が一日の量であるという。(10mg錠があるのになぜ2錠なのか聞きたかった)パキると頭が軽くなり、気分が高揚するらしい。パキるとAさんは上機嫌になったようで、「ホテルに行こう」と行ったのは当然セックスのためで、Aさんはセックス中に寝ていないと強弁した。(片時でも寝ていれば、同意のない性交が疑われるからである)
 25日の性交の理由は「距離が近かったから」。検察官が意味を問いただしたものの、説明に窮していた。シラフのときにセックスをしたことがなく、「ラリってても大丈夫だと思っていた」と明石。
2件ともコンドームを使っていない理由は、「ない」。
 捜査段階では性交もパキっていたことも否認しており、前科については「気をつけていたが、クスリと酒のせいで今回のようになってしまった」。
「もっとして」などと言われたからAさんの同意があったと思い、Aさんとは「セックスフレンドみたいな関係」 と身勝手な主張を繰り広げた。

論告・求刑

 検察側はマイスリーの摂取と性交に争いがないことから、Aさんが抗拒不能にあったことを街頭の防犯カメラの映像、AさんやBさんのLINEの内容から証言に信用性があること、ごく短期間の関係で性交に応じるはずもないとして、抗拒不能にあったのは明らかとした。
 また、精神薬理学の専門家の証言により、マイスリーが犯行時に作用していたこと、覚醒作用など無いことから、相当な酩酊状態にあったことを主張した。
 その上で、自己の性欲を満たしたいという動機に酌量の余地は無く、強固な犯意に基づくものであり、せめてコンドームをとのAさんの懇願を無視し、膣内から精液が確認され、否認を続けて今もなお被害者の感情を踏みにじっているとして、懲役9年を求刑した。

弁護側、最終弁論

 性交の同意について、「やめて」と言ったり手足を動かして抵抗していないこと、防犯カメラの映像だけでは抗拒不能といえず、無罪を主張した。
「ゴムつけて」は同意ともとれ、上着を返しに行ったときに電話をしたり逃げたりもしていないことを補足的に挙げた。
 また25日の性交後も普段どおりであったため、被告人がセックスフレンドであるという認識で、31日も同意があると判断したと主張した。

最終陳述

「Aさんのウソの証言がまかり通るような結論を見たくないです」
 さすが元アイドルプロデューサーをいうべきか、最後まで口ばかりは達者な明石であった。

判決

 判決は、懲役5年6ヶ月(未決勾留日数300日を参入)であった。これに前科が加わるため、7年弱は刑務所暮らしとなるだろう。
 裁判所は、被告人がホテルでAさんを自己の支配下に置き、抗拒不能に乗じて性交・口腔性交に及んだと認定。
 防犯カメラの映像では路上で20秒ほど横たわったままであったり、ホテルの防犯カメラでは廊下の壁にぶつかるなどの様子が確認できる。縞状の記憶は薬理作用によるものが明らかで、創造によって作出された話とは考えがたい。
 記憶のないところは正直に証言していて信用性がある。被害者の状態を被告人は認識していたはずで抗拒不能であるとも認識していた。
 被害者は未成年であり、人格を顧みず精神的苦痛を与えた。しかし、無理やり酒や薬を飲ませたわけではないため求刑はやや重い、との結論であった。
 この業界の味をしめたからこその犯行であろう。残された妻子が気になって仕方ない。

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