帰り道の盗撮魔に気づいたパトカー(迷惑防止条例違反)

迷惑防止条例違反
  • 大阪地方裁判所:第12刑事部3係
  • 罪名:迷惑防止条例違反
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顔をそむけただけで

 2020年9月3日、大阪府茨木市にある大型ショッピングセンターのジュエリー店にて、倉庫作業員の男(36)が、かがんでいる女性客のスカート内を盗撮した。男は犯行に気づかれることなく帰路についていたが、警ら中のパトカーから顔をそむけたことから職務質問に。紙袋の底に仕込まれていたデジタルカメラが発見され、事件が発覚した。

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音信不通と遅刻

 裁判長から認否を問われた男は、困った様子で弁護人を見た。というのも、在宅起訴された男は弁護人からの電話にまったく出ず、証言台の席に座るまで打ち合わせができていなかったのだ。初公判は結局、認否不明のまま打ち切りとなった。
 第2回公判で男はなんと、27分遅刻して法廷に現れた。被告人が姿を見せないことから漂っていた諦めムードが吹き飛んだ。
 男はいずれも盗撮で、17年に罰金30万円、19年に罰金50万円の前科がある。共に略式裁判、つまり書類のみでの手続きしか経験が無いため、男が法廷に立つのは初めてだ。とはいえ、審理が始まる前からこの様子では先が思いやられる。
 19年の罰金を男は納付できず、労役場に留置されている。労役場とは、罰金を払えない者が簡単な作業に従事する場所で、労役場留置を端的に言えば「金の代わりに働け」ということだ。

際限ない無責任

 盗撮モノのAVを観たことがきっかけで盗撮を始めた男は、穴を空けた紙袋から動画モードのデジタルカメラで撮影をしていた。
弁護人「事件を振り返ってみてどう思いますか?」
男「悪いことをしたと思います」
弁護人「被害者の気持ちについてはどう考えた?」
男「気持ち悪いと思ったかなと」
 男には妹がいて、事件を知って「なにをしとるんや」と泣いて怒った。その様子を見て、男は今後このようなことはやめようと思ったという。前回の事件の取り調べでは、カウンセリングを受けると供述していたが、金を工面できず一度も行かなかった。
検察官「デジカメは前回購入したものと同じ?」
男「もう一度買ったものです」
検察官「それを買った金で病院に行かなかったのはなぜ」
男「欲望を優先したからです」
検察官「今後は盗撮しないよう、どのように防止していくんですか?」
男「カウンセリングを受けようと……」
検察官「前回と一緒じゃないですか!」
 金銭の目処が立てばカウンセリングに行くと、男は語った。

「誓いを忘れないで」

 検察側は、前刑から1年足らずで盗撮を再開したことを非難し、懲役6月を求刑した。弁護側は、社会内での更生が妥当であるとして執行猶予を求めた。
 判決は懲役6月執行猶予3年であった。
 もう盗撮はしないと言っていた男に、裁判長は「執行猶予が終わった後も、法廷で誓ったことを忘れないでください」と諭した。

 音信不通や遅刻からして、約束を守れそうにない男であった。

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