女性の部屋への侵入を繰り返したマンション管理人(住居侵入)

住居侵入
  • 大阪地方裁判所:第7刑事部2係
  • 罪名:住居侵入

事件の概要

 マンション管理人の男(52)が2020年8月18日午後4時ごろ、自身の管理するマンション(大阪市鶴見区)の内の1部屋にマスターキーを使って侵入。立て続けに2部屋目に侵入したところ、帰宅してきた住人女性と鉢合わせたという事件。容疑を認めている。

怒る妻

 マンションは被告人の実母が所有しており、息子夫妻が管理していた。
 証人として出廷した妻は、「(夫に対して)腹が立ってしかたない」と、女性として、管理人としての自分の立場から二重の怒りをおぼえているという。事件について夫に聞いてもはぐらかされるばかりといい、裁判長に「被告人の顔を見て言いたいことを言ってもいいですよ」と促されると、「ちゃんと話し合ってください」と少々怒気のこもった声で夫を非難した。
 加害者家族は事件のことを知りたくもないという人々が多く、息子2人を育てている奥さんとして素晴らしい方だと思った。判決の項で書くが、結果的に監督者として評価されることとなる。

部屋に侵入したワケ

 妻は「生活が気になって侵入」したと聞いていて、法廷での被告人も「どういう暮らしをしているのか、という好奇心」で侵入したと述べた。
 ところが、警察の取り調べ段階での発言が挙げられるにつれ、こいつは変態であることが顕になった。しかも妻の前で。
 被害に遭った女性は2人なのだが、どちらにも好意を抱いていたといい、1件目の部屋には思い出せないほど侵入を繰り返したという。女性の車が駐車場に無いことを確認して犯行に及んでいる。
 1分ほど部屋を見回していたという被告人に対し、検察官・裁判長はそれだけなのかと追及した。すると「タオルを嗅いだことがある」と答え、畳んであったのかと問われて「水気があるぐしゃぐしゃのタオル」と白状した。ついでに近くにあったブラウスやキャミソール、タンクトップなども嗅いだという。
 勘のいい人は気づいたかと思うが、要するに疑われているのは、下着を嗅いでいたのではないかという点である。
 2件目の住人女性と鉢合わせたのは洗面所前。一般的な1DKを想像してほしいのだが、暮らしぶりを見るならリビングにいるはずで、洗面所と風呂に挟まれた脱衣所にいる理由は、そこに置いてありそうな衣服だ。

その後

 被害者は「一番安心できるおウチに入られる気持ち悪さ」や「帰るたびに思い出す」ことを訴え、転居を余儀なくされた。
 検察側は公益侵害の度合いが強く、危険性が高いと指摘。反復行為は強い非難に値し、被害者の処罰感情が強いことから、懲役1年2ヶ月を求刑した。
 対して弁護側は、短時間の侵入で物色しておらず、反省と弁償をしていることから再犯可能性が低いとし、かん大な処分を求めた。
 判決は、懲役1年執行猶予3年であった。
 説諭として、「妻となんでも話し合う関係に」と諭した。GPSで被告人の居場所を常にチェックし、外出には必ず付き添うようにしているという妻がいることは幸せなことである。

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