利息101.39%のヤミ金業者(出資法、貸金業法違反)

貸金業法違反
  • 大阪地方裁判所:第15刑事部1係
  • 罪名:出資取締法・貸金業法違反
スポンサーリンク

無登録の男

 2019年9月から21年11月の間、大阪府豊中市の無職の男(61)が無登録で2名に対し、現金合計25万円を貸した。貸金業を営むためには財務局長か都道府県知事の登録を受ける必要がある。
 2名との契約は日歩0.33%(法定利息は0.3%)で、男は利息として1万2000円を受け取った。
 同じ時期に、兵庫県尼崎市では高齢女性に日歩0.36%で貸し付け、利息2万円を受け取った。さらには豊中市にある男の自宅で、他の男性に年利101.39%で貸し付けた。個人間の借金であれば年利109.5%まで許容はされるが、年利20%を超える金利は無効である。なんともややこしいが、男は生業として金を貸していたので間違いなく処罰の対象だ。
 21年11月に男は路上で別件の職務質問を受け、警察官が他人名義のキャッシュカードを発見したことから事件が発覚した。

スポンサーリンク

顧客ルート

 借り入れた人は主に、自己破産などをして正規の借り入れができない人々だった。知人からの口コミで男と知り合い、貸し付けを受けたという。交わされた借用書を、男は警察に任意提出した。

友人は「亡くなった」

 大柄で鋭い目つきの男は、検察官の冒頭陳述を腕組みして聞いていた。ヤミ金を営んでいる友人から方法を知り、資金提供を受けて自らヤミ金業を営んでいたという。貸し付けは1回10万円以下で、従業員や広告は一切使っていなかった。
弁護人「貸し付けの相手はどうやって探したの?」
男「お金を貸したことがある人が、自分に紹介してくるシステムでした」
弁護人「脅して金を回収したことは?」
男「それはありません」
 男は実弟に「アホなことはやめろ」と諭され、今後はヤミ金業をしないと証言台で述べた。
検察官「貸金業に登録が必要なのは知っていた?」
男「豊中署の生活安全課に電話したら、宣伝広告や看板が無いなら大丈夫と言われて……登録が必要なのは知っていました」
検察官「利息が違法なのは?」
男「違反しているのはおっしゃる通りです」
 調書では「1000万円貸している」と供述しているが、資金を提供してくれた友人は亡くなったといい、今後金を回収するつもりは無いと男は語った。

疑惑の資金源

 検察側は懲役1年と罰金80万円を求刑し、弁護側は違法な取り立てが行われていないため執行猶予を求めた。裁判長は検察官に、罰金がどちらの違反にかかっているのかを確認した。両方の法律との回答だった。
 判決は、懲役1年執行猶予3年、罰金80万円だった。裁判長は最後に「決して軽くないことはわかってくださいね」と釘を刺した。

 組織的な詐欺や強盗では、上位にいる人がよく「死ぬ」。この事件も同じで、男は末端の受け子・かけ子のような役割に違いない。ヤミ金業者も組織を細分化してリスクに備える時代なのかと考えた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました